スタッフインタビュー
INTERVIEW02
発掘調査の仕事で価値観が変りました。
珍しい出土品に心が躍ります!
子育てが終わり一段落した頃、どこかで働こうと思いハローワークで仕事を探していました。
そのとき紹介されたのが、関東文化財振興会です。
就職を決めた理由は、事務仕事ではなかったこと。
若い頃に事務系の仕事をしていて自分には向いていないことが分かったからです。
それから、もともと焼き物に興味があり、こういう仕事に就けば珍しい焼き物をたくさん見られるのではないかと思ったのも動機の一つですね。
実際、一般の方はなかなか見ることの出来ない出土品をたくさん見ることが出来ます。
印象に残っているのは、水戸城跡から出土した焼き物の人形。
顔が無く胸部だけの泥人形のようなものなのですが、この人形を作った人は何を考えていたんだろうとか思いを巡らせるととても楽しいです。
調査員の話によると、着せ替え人形のような玩具だったのではないかということですが、使い道のよく分からないモノなどに想像力をかき立てられる毎日です。
捨てられたものでも貴重な遺物です。
一緒に働くスタッフも、とても素晴らしい方ばかりです。
考古学の権威で高名な先生もいらっしゃるんですよ。
働き始めた頃、どのくらい古い年代の出土品から遺物になるのか疑問に感じて先生に尋ねると、昨日捨てられたものでも、見る人の価値観によって遺物になると仰っていました。
もちろん、文化庁が定める年代はあるのですが、その「もの」を大切に感じ未来の子供たちに伝えたいと思ったら、それは立派な遺物になるということ。目から鱗が落ちたようでした。確かに遺物の中には使い古されて底が擦り減ったすり鉢など、ゴミとして捨てられたようなものもあります。
でも、当時の生活を知るためには非常に価値の高い遺物の可能性もあるんです。
だから、私たちが捨てているゴミの中に未来の人たちにとっては価値のある遺物があるのかな…。
なんて考えてしまいますね(笑)。
アナログな作業も魅力の一つです。
私の現在の仕事は、室内作業です。
室内作業とは、主に遺物の実測図などを描くこと。正確に描くため、ちょっと面白い道具を使います。
例えば、遺物の輪郭を記録する真弧(まこ)。
一見すると櫛のように見えますが、櫛の歯のような部分を押すとへこむので、遺物に押し当てると正確な輪郭を記録することが出来ます。
また、ハサミのような形をしたキャリバーも特徴的。上の部分にメモリがついていて、挟んだ遺物の厚さを計測する道具です。
デジタルのものもありますが、基本的にはアナログな道具が多くて可愛いところが気に入っています(笑)。
この仕事をするには、学歴や知識などは必要ないと思います。
好奇心と知識欲さえあれば、充分、続けられる仕事だと思います。